瀬戸内散骨協会におけるガイドライン
われわれは、次のガイドラインを遵守することにより、事業者の信頼と瀬戸内の環境保全を確保し、業界の健全な発展を目指しております。
1.はじめに
従来、日本においては、人がお亡くなりになった場合、墓地に埋葬することが一般的で、それ以外の葬送方法は、あまり考えられない状況だった。
しかし、近年、時代の流れや価値観の変化に伴い、海への散骨を葬送の方法のひとつとして選択されるご遺族様が増加してきた。
瀬戸内散骨事業者は、散骨を請け負うに当たり、故人様やご遺族様の想いを大切に受け止めると同時に、漁などの海にかかわる方々とのトラブル防止や環境保全のため、節度ある健全な瀬戸内散骨を実施する必要があると考える。
「瀬戸内散骨協会」は、瀬戸内散骨に関してのガイドラインを定め、これを遵守することにより、節度ある健全な瀬戸内散骨を通じて、ご遺族様に安全かつ安心していただける散骨を提供していく。
2. 目的
瀬戸内散骨を実施する消費者保護や施行場所付近でのトラブル防止や環境保全のため、瀬戸内散骨提供事業者の行動指針として、本ガイドラインを定め、これを遵守する。
これにより、事業者の信頼と環境保全を確保し、業界の発展に資することを目的とする。
3.適用範囲
このガイドラインは、瀬戸内散骨協会加盟事業者に適用する。
4.瀬戸内散骨協会ガイドライン遵守事業者の登録及び公表
このガイドライン遵守を誓約した事業者を「瀬戸内散骨ガイドライン遵守事業者」として登録し、当協会ロゴマークを使用し、これを公表できることとする。
5. 加盟事業者の行動原則
・加盟事業者は、瀬戸内散骨事業の社会的使命を自覚し、安全かつ節度ある健全な事業活動を通じて故人様やご遺族様の追悼・ご供養の想いに貢献し、社会的に有用な存在であらねばならない。
・加盟事業者は、故人の基本的人権を尊重し、個人情報の保護に十分配慮し、ご遺族様の安心と信頼を得なければならない。
・加盟事業者は、瀬戸内散骨に伴い、起こり得るトラブルを未然に防止するとともに、施行場所周辺の環境保全に努め、瀬戸内散骨について、幅広く理解を得られるよう努力しなければならない。
6.顧客情報の守秘義務
加盟事業者は、業務上知り得た顧客情報を守秘するとともに、個人情報保護法の遵守・徹底を図り、個人情報の適正な管理に努めなければならない。
7.故人様のご意志やご遺族様のご意向の尊重
加盟事業者は、瀬戸内散骨の提供にあたり、故人様のご意志やご遺族様のご要望を真摯に受け止め、その実現に向けて最大の努力をしなければならない。
8. 情報開示・提供、助言
・加盟事業者は、消費者様に提供する瀬戸内散骨の内容や料金、その他有用な情報を開示・提供し、適正な助言を行うことにより、消費者様が適正な選択・決定ができるよう努めなければならない。
・消費者様に開示・提供するパンフレット等の内容は、できる限り分かりやすい表現や表示、用語を使用するよう努めなければならない。
・消費者様に開示・提供するサービス内容・料金等の表示について、不当、虚偽、誇大等の表示を決して行ってはならない。
・加盟事業者は、常に瀬戸内散骨にかかわる知識の普及・啓発に努力しなければならない。
9. 加盟事業者の説明責任
・加盟事業者は、消費者様に対し、瀬戸内散骨の内容や料金など必要な情報を、明確に分かりやすく説明しなければならない。
・加盟事業者は、消費者様に対し、特に以下の事項及びその関連内容等について、誠実に説明しなければならない。
①事前相談、事後相談にかかわる事項
②打合せ、見積もりにかかわる事項
③散骨全般の進行・運営にかかわる事項
④見積り後の内容や仕様・数量等の追加・変更にかかわる事項
⑤見積り以外の別途費用の発生にかかわる事項
⑥見積書と請求書の内容・金額等の差異にかかわる事項
⑦消費者様にとって有用となる事項
⑧瀬戸内散骨施行契約上の重要事項について消費者の不利益となる事実
10. 請求書交付の義務
請求書は、消費者様にとって分かりやすい様式にするよう努めなければならない。
11. 船舶の整備、安全の確保
・加盟事業者は、散骨で使用する船舶において、国土交通省もしくは都道府県への許可・申請を行っている船舶以外の船を使用してはならない。
また、船舶賠償保険は、届け出機関における最低保証金額(1人当たり3,000万)をみたしているものとする。
・加盟事業者は、船舶乗船者の安全性に配慮し、船舶の整備・保全に努めなければならない。
・加盟事業者は、航行中の小型船舶に乗船中の全員にライフジャケット(救命胴衣)を着用させなければならない。
・加盟事業者は、緊急時の連絡体制を確立し、無線機・携帯電話等の通信設備を備えなければならない。
・加盟事業者は、船舶の乗船定員を遵守しなければならない。
・加盟事業者は、その他法令に従い安全に船舶の運航を行わなければならない。
12 .出港中止基準の確立
・加盟事業者は、風速、波高、視程による出港停止基準や出港後の運航中止基準を確立し、遵守しなければならない。
・加盟事業者は、常に最新の気象・海象情報を入手・把握しなければならない。
13.粉骨の義務
ご遺骨をそのままの状態で散骨するのは、「墓地・埋葬等に関する法律」「刑法190条の規定する死体(遺骨)遺棄罪」に抵触する恐れがあるため、散骨時にはご遺骨と分からない状態にまで粉骨すること。
したがって、加盟事業者は、未粉骨のご遺骨を撒いてはならない。
14.散骨場所の選定義務
・加盟事業者は、漁業士、養殖場、レジャー、観光業などへの風評被害を考慮し、河川、河口付近、海岸、浜辺、防波堤やその近辺での散骨を選定してはならない。
・加盟事業者は、漁場、養殖場、航路を避け、陸地より離れた沖合に散骨場所を選定しなければならない。
15.自然環境保護の義務
加入事業者は、散骨時において、自然に還らないもの(金属・ビニール・プラスチック・ガラスその他の人工物等)を海に撒いてはならない。
16.加入事業者への指導・勧告・登録抹消
瀬戸内散骨協会は、このガイドラインの規定に著しく違反し、又は故意に違反した加入事業者に対し、改善指導・勧告をし、それに従わない場合は、登録を抹消することができる。
17.附則
・このガイドラインは、平成28年 5月 15日から施行する。
・このガイドラインは、必要に応じて随時改正する。